特別ニーズ教育の比較教育的考察<特集:特別支援教育の実像>
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概要
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本稿は、20世紀の障害児教育、もしくは特別ニーズ教育を概観し、日本の特別支援教育の比較教育学的な位置やこれからの方向を検討する。 第一に、20世紀国民国家における公教育の基本モチーフである「能力による分化と国民統合」の展開・推移を「民主主義とナショナリズム」および「公共性と市場原理」という視点から検討した。第二に、特別ニーズ教育の対象と障害児学校・学級在籍率、就学決定の原則、障害や特別ニーズの概念・分類、財政に基づいて、グローバルな視点で一定の傾向や類型を示すことを試みた。第三に、「多文化教育」(異文化間教育)の展開に着目し、「同化・統合政策」から文化的多元主義へという流れが、特別ニーズ教育とどのように関連しているのかを論じた。 最後に、日本の特別支援教育は、インクルージョンにはまだほど遠く、せいぜいインテグレーション(同化・統合)の段階にようやく届いたにすぎないという問題性を指摘した。
- 全国障害者問題研究会の論文
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