価値志向性が情報コミュニケーションに与える効果の実証的研究
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概要
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インターネットや携帯電話などが普及する現在、コミュニケーション自体が目的であるかのようなコンサマトリー(自己充足的)なコミュニケーションが、情報コミュニケーションの主要な位置を占めている。その中で、ただ単にコンサマトリーなコミュニケーションだけでは飽き足らない人々の層が出現しつつある。そこでは、宗教的なまたはスピリチュアルな実存的価値追求の程度が、コミュニケーション行動に強い効果を与える。ここではそれを「スピリチュアルなコミュニケーション」と名づける。実証研究の結果、「宗教に対する態度」に応じて、コミュニケーション行動全般や特にインターネット上での情報コミュニケーションの特徴が変わることが示された。特に、「深い語りあい」にリアルにコミットする機会に恵まれない「非信仰・有関心者」は、特定信徒が教団内で得ているリアルなコミットメントのあたかも代替のように、インターネットでの情報コミュニケーションをコンサマトリーな様相で行っている。彼らはインターネットを通じて「交流による自己実現と自己発見」をはかり、宗教のみならず「社会・地域の情勢」や「政治経済」など価値観に強くかかわるような領域でもコミュニケーションをはかることができると考えている。宗教は、政治やNGOよりもさらに広く深いコミットメントを引き出すものであると考えられるが、上記のようにそれらの間には密接な関係が存在することが示された。
- 2007-03-30
著者
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- 稲葉圭信著, 『利他主義と宗教』, 弘文堂, 2011年12月刊, B6判, 224頁, 1,785円(書評とリプライ)