CCK-8誘発の摂食抑制にはセロトニン3型のリセプターが関与しc-kit ligand欠損ラット(WS/WS)のCCK-8の感受性は強くない
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概要
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Wistar系ラットとc-kit依存性ligand欠損ラットWS/WS系で摂食行動に対するCCK-8の効果を観察した。Wistar系ラットではCCK-8は用量依存性に摂食量を減少させたがその効果は投与後約3時間しか持続しなかった。CCK-8による摂食抑制はラモセトロン(セロトニン3型のリセプターアンタゴニスト)の前投与によって減弱したが合成副腎皮質ホルモンであるメチルプレドニゾロンの脳室内への前投与によって影響されなかった。このことは, 1)摂食によって得られた腸管内の栄養源が引き金となりCCKが小腸の陰窩や上皮組織に存在する基底膜顆粒細胞より粘膜固有層側へ放出され, 2)放出されたCCKは何らかの機序で消化管粘膜固有層に接して近傍に居住するエンテロクロマフィン細胞に作用し,内包するセロトニンを放出させ, 3) セロトニンは粘膜固有層に分布する迷走神経求心性神経末端にある5TH3型リセプターを介してその情報を脳へ送り摂食行動をストップさせることを示唆している。WS/WS系動物の摂食量は消灯後3時間量も1日量でもWistar系に比べて少なかったが,CCK-8誘発の摂食抑制はWistar系と比べて効果が小さかった。このことはWS/WS系が低体重で摂食量が小さい原因としてはCCK-8に対する感受性が強いために起こることを否定している。
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