ラットにおけるストレス誘発の摂食抑制には系統差がある
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概要
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多くのストレスはさまざまなメカニズムで摂食を抑制する. ストレスによる摂食障害のメカニズムを解明する目的でストレスに対する生理的応答に違いがあるFisher系,Lewis系,Wistar系ラットを用い,抗ガン剤,細菌性内毒素,および情動ストレスを負荷した後の摂食量と体重を6日間にわたり測定した. 抗ガン剤であるシスプラチンは強力で長引く摂食抑制を起こし,著しい体重減少をもたらした. Fisher系ラットが最も強い接触抑制を受け,次いでLewis系ラット,Wistar系ラットの順であった. リポポリサッカライドは発熱を伴い摂食を抑制し体重減少を招いた. その障害効果はLewis系ラットが最も重く,Fisher系ラットとWistar系ラットは同じ程度で軽度であった. 水浸拘束(22℃,金網内保持)は初回のchallengeでは軽度の摂食抑制を起こしたが2度目の負荷は効果が弱く,いわゆるなれが観察された. 水浸拘束による摂食抑制はLewis系ラットに最も強く,次いでFisher系ラットで,Wistar系では弱かった. 以上よりストレス誘発の摂食抑制にはラットの系統に差があり,その原因はストレスの作動機序の違いとラットの系統によってストレスを受けとめる中枢性又は末梢性の感受性の違いによることが示唆された.
- 長崎大学の論文
著者
-
松本 逸郎
長崎大学医学部第一生理学教室
-
増本 夏子
平成12年度リサーチセミナー
-
岩永 洋一
平成11年度リサーチセミナー
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松本 逸郎
長崎大学医学部生理学教室
-
松本 逸郎[他]
長崎大学医学部第一生理学教室
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