エネルギーフィルター型透過電子顕微鏡による虚血心筋ミトコンドリアに貯蔵されるカルシウムの検出

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【目的】心筋ミトコンドリアは虚血等の非生理的条件下のカルシウム代謝に関連することをより明瞭に証明するために,実験的に虚血状態にしたマウス心筋をリン酸緩衝固定液で処理して細胞内カルシウムを固定し,エネルギーフィルター型透過電子顕微鏡法でミトコンドリアにおける正確なカルシウム分布の画像解析を試みた。【方法】麻酔下に頸動脈からの寫血による心筋虚血状態を作製し,拍動停止直後の左心室筋をリン酸緩衝グルタル液で浸漬固定した。樹脂包埋切片による電子エネルギーロススペクトルからロス画像を得,カルシウム元素のマッピングを行った。コントロールとして拍動中の心室筋の小片を同様に固定した。【結果】心筋細胞内のカルシウムはイオンとして存在し,リン酸によって効率良く捕捉固定された。生理的状態で拍動している心筋では,主に筋小胞体終末槽にカルシウム元素の特異的な強いシグナルが検出された。一方虚血によって拍動が停止した心筋では,ミトコンドリアマトリックスに強いシグナルが検出された。【結論】1.心筋細胞のカルシウム分布を,リン酸緩衝固定法とエネルギーフィルター型透過電子顕微鏡法によって簡便かつ高感度に超微形態学的に検出できた。2.正常時の心筋細胞内のカルシウムは,小胞体終末槽を中心に分布し,虚血時にはミトコンドリアマトリックス全体に高密度に分布した。
金沢医科大学の論文

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