タキサス天然成分による抗腫瘍活性機序の研究

概要

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【目的】本研究ではタキサス(中国イチイ;Taxus yunnanensis,イチイ科)の主な抗腫瘍性物質を解析するとともに,その機構を明らかにしようとした。【方法】(1)タキサスエキス(T.yunnanensis木部の熱水抽出物)の腫瘍細胞増殖抑制活性を培養ヒト細胞株でスクリーニングした。(2)タキサスエキスをHeLa細胞に添加し位相差タイムラプス顕微鏡および電子顕微鏡で観察した。(3)アポトーシス誘導機構を調べるため,Fas抗原の細胞表面への発現とcaspaseの活性化について検討した。(4)タキサスエキスとパクリタキセルのIC_<50>を測定し相関性を調べた。【結果】(1)固形癌,白血病細胞のIC_<50>値が平均値10μg/mLであったのに対して,正常細胞では45μg/mLであり,癌細胞に4.5倍の選択的毒性がみられた。(2)分裂期に入ってから12〜16時間後にアポトーシスが誘導された。この間染色体は赤道面に一時並ぶが,その後両極に分離しないで融合し,アモルファスな球形のアポトーシス小体となる様子が電子顕微鏡にて観察された。(3)アポトーシス誘導機構は,Fas抗原の細胞表面への発現,caspase-8/10の活性化を経てcaspase-3が活性化される系が確認された。(4)タキサスエキスとパクリタキセルのIC_<50>値に相関性が認められた。【結論】以上の結果から,タキサスは抗腫瘍活性をもち,その活性は主にパクリタキセルを含むタキサン系によるものであると推察された。
金沢医科大学の論文

タキサス天然成分による抗腫瘍活性機序の研究

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