抗酸化剤による紫外線傷害の防御に関する細胞化学的研究
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概要
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【目的】培養結膜上皮細胞において中波長紫外線による細胞傷害に活性酸素生成が関与するのか,抗酸化物質によってそれが防御できるかを形態学的,細胞化学的に検討した。【方法】ヒト結膜上皮細胞株に紫外線ランプ(最大波長:310nm)で0〜10mJ/cm^2の照射を行った。形態変化を電子顕微鏡法で観察し,DNA断片化検出と核染色によってアポトーシスを証明した。細胞内に生成する過酸化水素を蛍光試薬で検出し観察した。α-トコフェロール,L-アスコルビン酸および抗酸化物質含有サプリメント製剤Niwanaのメタノール-酢酸エチル抽出物を添加して傷害抑制効果を調べた。【結果】細胞の生存率は線量依存的に減少した。10mJ/cm^2の照射では核膜の強い陥入と細胞質の空胞形成がおき,24時間後にアポトーシスに陥った。また,6時間後にDNA断片化が確認された。これに先立ち4時間後では細胞質全体に過酸化水素の生成が確認された。5mJ/cm^2の照射でα-トコフェロール(0.5mM),L-アスコルビン酸(4mM)は24時間以降に生存率を100%回復させた。Niwana抽出物(1mg/ml)は,1.25mJ/cm^2の照射で生存率を100%,5.0mJ/cm^2では24%回復させた。【結論】中波長紫外線による活性酸素生成が結膜上皮細胞のアポトーシス細胞死に関与し,抗酸化剤はこれを防御する。
著者
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島田 ひろき
金沢医科大学解剖学第I教室
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島田 ひろき
金沢医科大学分子細胞形態科学
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古田 薫
金沢医科大学分子細胞形態科学(解剖学)
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Shui Ying-bo
Department Of Ophthalmology And Visual Science Washington University School Of Medicine
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古田 薫
金沢医科大学分子細胞形態科学
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