虚血性急性臓器不全に対するATP-MgCl_2療法
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概要
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Shock, sepsis等critical conditionのもとでは,心,肺,肝,腎等重要臓器への血流の減少,及びそれにともなう酸素やenergy substrateの供給の低下により,これら臓器を形成している細胞の細胞内ATPレベルが低下し,ATPを必要とする細胞膜機能やorganelle機能が低下し,このことが虚血性急性臓器不全の発生機序であるとする説がある。我々はこの説にたち,ATPをATP-MgCl_2の形で投与し,虚血性急性臓器不全を治療するapproachにつき検討してきた。すなわち出血性shock,sepsis,腎虚血,肝虚血,肝切除後肝細胞内energy crisis等の病態modelを実験的に作成し,ATP-MgCl_2を40〜50μmole/kg経静脈的に投与し,生存率や,各臓器機能が改善される事を観察し,報告して来た。かかるATP-MgCl_2の有効性の機序は,現時点では十分に解明されてはいないが,我々は各種の実験結果より,投与されたATP-MgCl_2を契機に細胞内energy代謝が改善され,虚血により失調していた細胞膜のNa pumpが再作動し,虚血により細胞内に蓄積していたNa及び水分が細胞外へ排出され,cell swellingがreverseされ血流が回復されることにあると考えている。また臨床的にも,多臓器不全,急性腎不全,肝切除後の患者等計59名にATP-MgCl_2を40〜50μmole/kg経静脈的に投与し,その有効性を確認した。ATP-MgCl_2は虚血性急性臓器不全に対する治療及び予防法として,魅力あるapproachである。
- 千葉大学の論文
- 1984-04-01
著者
-
平澤 博之
千葉大学医学部 救急医学
-
佐藤 博
東北大学医学系研究科腎・高血圧・内分泌学分野
-
佐藤 博
敬和会大分岡病院
-
小高 通夫
千葉大学医学部第2外科
-
佐藤 博
千葉大学医学部第2外科
-
平澤 博之
千大・2外
-
大川 昌権
睦沢診療所
-
小高 通夫
千葉大学人工腎臓部
-
大川 昌権
千葉社会保険
-
大川 昌権
千葉大学医学部第2外科学教室
-
大川 昌権
千葉大学医学部第2外科
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