腎盂尿管腫瘍における膀胱粘膜多部位生検の意義

概要

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(目的)1990年〜2003年に大阪警察病院で手術を施行した腎盂尿管腫瘍59例における膀胱生検の意義について検討した.(対象と方法)年齢は42〜91歳(中央値68歳),男性41例,女性18例であった.膀胱生検は膀胱鏡で肉眼的に正常な原則5カ所(三角部,後壁,左側壁,右側壁,頂部)について施行した.そのうち1カ所でも癌または異形成を認めた場合を生検陽性とし,それ以外は陰性と判定した.観察期間の中央値は54カ月であった.(結果)膀胱生検陽性例は6例(10%)で,G3の上皮内癌3例と異形成3例であった.上皮内癌3例のうち1例は膀胱癌の既往があり,残りの2例は手術時に膀胱癌を合併していた.異形成3例のうち1例は手術時に膀胱癌を合併していて,残りの2例は膀胱癌を合併していなかった.膀胱生検陽性6例のうち4例(上皮内癌;3,異形成;1)に追加の膀胱内注入療法が施行されていた.膀胱生検陽性は膀胱癌の合併歴のない症例(2/44:5%)よりもある症例(4/15:27%)のほうが有意(p=0.03)に多かった.術後膀胱内再発は膀胱生検陽性では1例(1/6:17%),陰性では20例(20/53:38%)で有意差を認めなかった.3年膀胱内非再発率は61%であった.単変量解析では膀胱生検ではなく,病期(p=0.03)と脈管侵襲(p=0.02)が膀胱内非再発率に対する有意な予後因子であったが,Coxの比例ハザードモデルによる多変量解析では有意な予後因子ではなかった.(結論)腎盂尿管腫瘍に対する膀胱生検は膀胱癌合併歴のある症例の上皮内癌や異形成といった随伴病変の発見に有用であった.膀胱生検の結果は術後膀胱内再発の予測因子とはならなかった.これは再発予防の膀胱内追加治療により生検陽性例での再発率が低下した可能性も考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
2007-01-20

腎盂尿管腫瘍における膀胱粘膜多部位生検の意義

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