糖尿病性腎症の進展予防に対する食事の影響(第II部門)
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概要
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II型糖尿病の初期腎症患者62名を対象として、腎症の進行を阻止するための要因を明らかにするため、クレアチニンが基準値内の群と基準値外の群に分けて、食事内容を検討した。クレアチニン基準値内群では、血清クレアチニン、尿素窒素、尿酸値は2年間変化を示さず良好に維持されていた。食事では、魚介類・肉類・乳類などの動物性食品の摂取を抑え、タンパク質の摂取量が栄養指示量より少なめの人が多く、食塩の摂取量も少なかったこと、さらに血糖コントロールも良好に維持されていたことが、腎症の進行を抑制したと推測される。クレアチニンが基準値外群では、エネルギーや栄養素の摂取量は基準値内群と差はないが、指示エネルギーは高く、指示タンパク質は低く設定されていたので、適量摂取の人の割合は、基準値内群より少なかった。塩分の摂取量も基準値内群より高値で、腎症の指標の改善は認められなかったが、進行もみられなかった。血圧も2年間変化を示さなかった。以上のように早期糖尿病性腎症では、血糖をコントロールし、タンパク質の制限、塩分制限を遵守すれば腎症の進行を阻止できることが裏付けられた。しかし、糖尿病から糖尿病性腎症へ食事療法が移行する際、エネルギーの確保、タンパク質の制限、塩分制限などの難しさ、患者への具体的な指導の重要性が示唆された。
- 大阪教育大学の論文
著者
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貴島 範彦
貴島中央病院内科
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奥田 豊子
生活環境講座
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福山 悦子
園田学園女子大学 人間健康学部
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貴島 範彦
貴島中央病院
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堀尾 公子
大阪夕陽丘学園短期大学
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中尾 みゆき
園田学園女子大学
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田中 宏
貴島中央病院
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福山 悦子
園田学園女子大学
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