小田原市・曽我山の植生 : 相模湾沿岸の照葉樹林の研究(4)

概要

論文の詳細を見る
1.小田原市・曽我山において植物社会学的植生調査を行い,49の植生調査資料を得た。2.曽我山の植物群落は種組成により以下に示す6群落・6下位単位に類型化された。[木本群落](自然林)A.アラカシーアオキ群落:A1.典型下位単位,A2.コナラ下位単位,A3.アカメガシワ下位単位,A4.ムクノキ下位単位(人工林)B.ヒノキ群落,C.マダケ群落,D.オニグルミ群落[草本群落]E.路傍雑草群落:E1.梅林放棄地雑草下位単位,E2.蔓植物雑草下位単位,F.耕地雑草群落3.類型化された群落の内,アラカシーアオキ群落について植物社会学的位置付けを行った。4. 14タイプの凡例を用いて相観による5千分の1縮尺の現存植生図を作成した。5.曽我山では1972年の現存植生図と比較してマダケの分布拡大が認められた。6.調査地内でコナラ,ケヤキ,アラカシのそれぞれが優占する林分に帯状区を設定し,帯状区内に出現する樹木の樹高,胸高直径及び林床植物の優占度を測定・記録し,群落構造を明らかにした。7.曽我山にはタブノキ林,シラカシ林,スダジイ林は殆どみられず,代わってアラカシ林が土地的極相林として成立していた。
1998-03-31