親和的家畜育成および馴致管理によるヒトへの恐怖心低減と生産性向上
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概要
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家畜は家畜化以後の長い歴史をもつが、依然ヒトに対する恐怖心をもっており、このことが生産効率の低下やヒト・家畜双方の負傷発生の原因となる。近年の家畜飼育規模の拡大により家畜個体認識が希薄化すると、家畜の恐怖心が増大し、その福祉低下にも繋がる。家畜恐怖心増大による生産性低下は、乳牛の乳量減少、繁殖豚の発情遅延・離乳子豚減少、卵用鶏の産卵数減少などにみられる。ヒトに対する家畜の恐怖心は、飼育管理者の嫌忌的家畜取り扱いによって惹起される。逆に、意欲的飼育管理者は生産効率を高めることができる。恐怖時における家畜の生理は交感神経系の亢進を示して、血中コルチゾールやアドレナリンが上昇し、成長ホルモン分泌低減がみられた。家畜のヒトへの恐怖心の増大は負傷発生増加や跛行発生の原因となる。ヒトを恐れる家畜の性格は、遺伝的要素と獲得的要素からなる。家畜の親和的育成管理、とりわけ幼齢時愛育・育成によって、この獲得的要素部分を改変し、その成育後のヒトに対する恐怖・警戒心を緩和させることができる。
- 明治大学の論文
- 2005-10-20
著者
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小林 茂樹
明治大学農学部環境動物管理学研究室
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小林 茂樹
明治大 農
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小林 茂樹
明治大学農学部
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増田 樹哉
アクセンチュアテクノロジーソリュウションズ(株)
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塩谷 瑠美
明治大学農学部環境動物管理学研究室
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