乳用種育成牛放牧場における小型ピロプラズマ症発症・治療牛の増体重と血液検査結果の相互関係

概要

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Japanese Theileriosis 発生率の高い公共乳用種育成牛放牧場における放牧牛血液の血球および原虫検査、抗原虫剤による発症牛の治療、ならびに放牧牛の発育調査を行い、これらの結果の相互関係を分析し、同疾病の予防・治療処置効果判定の基礎資料とした。対象牧場は栃木県那須山麓東面にあり、標高600-1,051mにある人口草地207haが使用された。対象期夏季の放牧頭数は439頭で、うち288頭が対象期新規入牧の若齢雌牛であった。入牧後16日から115日にわたり延べ8回血液血球および原虫検査を行い、また入牧時から158日の間に延べ4回牛衝器で体重測定を行った。主に入牧後1-2ヶ月の間に、強度貧血牛(Ht20%以下)を8-アミノキノリンおよびジアゾアミノベンザミッドならびに補液により治療した。入牧後の158日間の1日平均増体量(ADG)は、発症・治療牛群(T群、10頭)および非発症牛群(N群、40頭)の両群とも0.42kgで、入牧初期にT群でやや小さかった。入牧初期および中期過ぎにT群のRBCの減少(入牧80日後に平均6.65×10^6/mm^3)、MCVの増加(同56.0μ^3)、WBCの増加(同1.07×10^4/mm^3)、Hbの減少(同8.9g/dl)、ならびにHtの減少(同25.7%)がみられたが、WBCの増加とHbの減少はN群にもみられた。これらの検査値の変動は放牧末期に修復され、両群間の際は縮小したが、退牧時のHbおよびHtは両群間に有意差(p<0.01)があった。血液塗布標本でのT.sergenti寄生度は両群間に明確な差異が認められ、T群において入牧後急速に寄生度が高まり、これは退牧時まで続いた。全期間のADGと退牧時血液検査値の関係として、T群ではADGとHtとの間に正の、ADGとT.sergenti寄生度との間に負の有意な相関が認められた。N群ではこれらの間に有意な相関は認められなかった。放牧後半期におけるT群の増体量の回復は、主に治療からの原虫増殖抑制と体力増強に依ったと考えられた。日本家畜管理研究会誌、27(2) : 47-55.1991. 1991年4月10日受理
日本家畜管理学会の論文
1991-09-17

乳用種育成牛放牧場における小型ピロプラズマ症発症・治療牛の増体重と血液検査結果の相互関係

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