実用規模牛ふんメタン発酵プラントにおける汚泥有機物消化特性
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概要
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本試験は,実用規模の牛ふんメタン発酵プラントにおける汚水水質浄化機能を,その有機物等負荷量の変化から調査•分析し,その効率的運転および管理方法の確立ならびに今後の同種プラント設計の資料収集を目的とした.1987年10月から1年間,東京農業大学那須牧場の牛ふんメタン発酵プラント(発酵槽容積30m3,一槽式)から約20日ごとに投入汚泥(牛ふん搾汁液),発酵槽内容液および消化廃液を採取し,その理化学的性状を測定した.その結果,発酵液と消化液のpHは弱アルカリ域,ORPは-200〜-300mVの範囲にあり,良好な嫌気状態にあった.総BODは平均値で搾汁液の49,000mg/lから消化液の32,000mg/lへ,このうちの溶解性BODは26,000mg/lから14,000mg/lへ減少した.搾汁液総BODの約半分が溶解性BODであり,平均除去率はそれぞれ32.2%および45,2%であった.総CODcrおよび溶解性CODcrの除去率はそれぞれ平均32.5%および51.7%であった.TS,VS,SSおよびVSSの除去率はそれぞれ平均22.7%,31.5%,9.9%および12.8%であった.アルカリ度は発酵液の6,010mg/lから消化液の8,990mg/lに上昇し,アンモニアの発生および有機酸の消費が推察された.NH4-Nは発酵液の498mg/lから消化液の640mg/lに微増し,消化液中のT-Nは2,000mg/l以上であった.搾汁液中の有機酸含有率は酢酸3,290mg/l,プロピオン酸1,030mg/l,酪酸450mg/lおよび吉草酸97mg/lであったが,発酵液および消化液中には僅少であった.消化ガス発生量はVS1kg当り0.2〜0.4m3の範囲で変動し,有機物負荷量がその発生量に影響した.なお,本実験の温度範囲(25〜36°C)では,高発酵温度はVS除去率を高め(r=0.468),逆にVSS除去率を低下させた(r=-0.513).
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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