肥大初期における甘藷塊根の組織学的研究-主として澱粉集積機能の品種間差異との関連において : 第3報甘藷とその野生種Ipomoea trifida(H.B.K.)G.Don.との種間雑種後代の高澱粉系統における幼塊根の組織特性

概要

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1.甘藷とその野生種との種間雑種後代の高澱粉系統を供試して幼根の組織特性を調査した.2.中央道管周辺の介在柔組織の発達, 木部柔組織における大型柔細胞の分裂頻度は収穫時の乾物歩合に対して前報と大体類以の関連性を示した(Fig.1およびFig.2)3.塊恨肥大の極初期には中央道管を取囲む最内側の細胞層は始原細胞より成立つものと思われる.柔細胞における澱粉粒の出現は, その細胞の分裂活性の減退を意味する.この二つの見解から挿苗後30日の材料について上記細胞層における澱粉含有細胞数の, 層を構成する全細胞数に対する割合を調査した結果, 成熟藷の乾物歩合との間に正の相関が認められた(Fig.3およびPl.1,2).これは乾物歩合の高い系統ほど, 上記細胞層中のより多数の細胞が分裂活性の減退を呈するものと解される.4.今回の供試系統では, 二次形成層の発達と乾物歩合との間に有意な正の相関が認められた(Fig.4).5.しかし, 前報の供試品種で相関は有意とならない(Fig.5).結果の相違する理由は, 前報の供試品種には, 二次形成層の発育様相に関する2型が含まれ, その1は九州34号等のごとく, 二次形成層の発育不良のものを交えたことによるものと考えた.6.筆者等は塊根の肥大に関係のある二次形成層の発達と乾物歩合に正の相関関係の存することを重視して, 高澱粉で多収品種の育種に希望を与えるものと考えた.
鹿児島大学の論文
1964-12-28

肥大初期における甘藷塊根の組織学的研究-主として澱粉集積機能の品種間差異との関連において : 第3報甘藷とその野生種Ipomoea trifida(H.B.K.)G.Don.との種間雑種後代の高澱粉系統における幼塊根の組織特性

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