温湯法に依る粟の人工交配
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1)温湯除精法を粟に適用する目的で本実験を行つた.2)10分以内の温湯処理に依つて除精するに必要な温度を用いれば, 粟は甚しき開穎障害を起し交雑授粉が困難となる.3)41〜42℃, 20分以上の比較的低温長時間の条件で処理を行えば被処理花の開穎障害は少なく, 葯の開裂及び花粉の発芽が極めて不良となり, 的確に除精の目的を達し得る.4)晴天継続する場合には温湯処理は当日開花すべき花に対してのみ有効で, 翌日以後の開花には効果を期待し得ない.5)天候不良の場合は処理の効果が翌日以後の開花にも現われ, 時として数日に及ぶこともある.6)粟は閉花後柱頭の一部を穎外に抽出するが, 柱頭のこの部分も閉花後1〜2日は授精能力を有するので, 自殖を防ぐために交雑後更に1〜2日は温湯除精を反覆する必要がある.7)適正条件の処理を4〜5日反覆しても, 被処理個体の開花結実には大なる支障は無きもののごとくである.8)交雑試験の結果, 1穂当最高71粒の結実種子を得, これを播種して幼植物の茎色により交雑の成否を検定した結果, 自殖は少なく交雑可能なることを証し得た.
- 鹿児島大学の論文
- 1955-11-30
著者
-
宮司 佑三
Laboratory of Plant Breeding
-
酒井 慎介
Laboratory Of Plant Breeding
-
石 秋炯
Laboratory of Plant Breeding
関連論文
- コチョウラン(Phalaenopsis)の花梗を利用した無性繁殖法
- 温湯法に依る粟の人工交配
- 6.粟の温湯除精に関する実験 : 日本育種学会第六回講演要旨
- 葯培養による粟半数体の育成
- (34) 甘藷における交配母本系統の幼塊根の組織特性とそのF_1の切干歩合との関係 : 日本育種学会第29回講演会講演要旨 : 一般講演
- 肥大初期における甘藷塊根の組織学的研究-主として澱粉集積機能の品種間差異との関連において : 第3報 甘藷とその野生種Ipomoea trifida(H.B.K.)G.Don.との種間雑種後代の高澱粉系統における幼塊根の組織特性
- 肥大初期における甘藷塊根の組織学的研究-主として澱粉集積機能の品種間差異との関連において : 第2報 甘藷諸品種における肥大初期の塊根組織の二, 三特性と収穫時塊根乾物歩合との相関
- 肥大初期における甘藷塊根の組織学的研究-主として澱粉集積機能の品種間差異との関連において : 第1報 典型的な高, 低澱粉品種間の幼塊根における組織特性の比較
- (19) Ipomoea batatas × I. trifida 雑種後代諸系統における, 幼根の2, 3組織学的特性と生育後期の塊根切干歩合との相関 : 日本育種学会第25回講演会講演要旨 : 一般講演
- 〔30〕甘藷の高低澱粉品種における根部組織の比較. 形成層活動様相の品種間差異 : 日本育種学会第22回講演会講演要旨 : 一般講演
- 〔35〕甘藷の2,3高,低澱粉品種における根部組織の比較 : 日本育種学会第21回講演会講演要旨 : 一般講演
- 〔19〕粟の自然花成と栄養条件 : 日本育種学会第20回講演会講演要旨 : 一般講演
- 桜島ほか2,3大根品種における葉色, 葉緑素とカロチン含量および光合成能
- 粟の光週感応に関する研究 : 第3報 晩生粟の, 長日条件下における花成の様相, および短期短日処理による生長相の逆転
- 粟の光週感応に関する研究 : 第2報 短日処理によつて生じた晩生粟の異常出穂現象, 特に奇型穂の出現について
- 粟の光週感応に関する研究 : 第1報 粟の2,3品種における短日感応様相の差異
- 5.開花時に於ける湿度の高低が粟の開花に及ぼす影響 : 日本育種学会第四回講演会要旨