高拘束圧下におけるシラスのせん断特性
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概要
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初期密度の異なるシラスについて高圧三軸試験を行い, 高い拘束圧の下でのシラスのせん断特性を検討した.その結果を要約すると次のようである.1.最大軸差応力時の軸ひずみは拘束圧が大きくなるに伴って大きくなり, 同じ拘束圧下ではゆるづめ供試体の方が軸ひずみは大きい.最大軸差応力は拘束圧σ_3=20kgf/cm^2以下では密づめ供試体の方が大きいが, σ_3=30〜50kgf/cm^2の範囲では密づめ供試体とゆるづめ供試体とは同じ値を示す.2.密づめ供試体では, σ_3=3kgf/cm^2まではせん断中に体積が膨張する.しかし, 拘束圧が6kgf/cm^2を越えると, ゆるづめ供試体と同様に収縮する一方である.また, 最大軸差応力時のダイレタンシーレイトもσ_3=3kgf/cm^2までは膨張側にあるが, 拘束圧が6kgf/cm^2を越えると収縮側になる.σ_3=30kgf/cm^2以上では, 初期密度による体積変化量の差はみられるが, 拘束圧の大小による差は見られない.3.軸差応力最大時の粒子破砕はσ_3=10kgf/cm^2までは少ないが, 10kgf/cm^2を越えると急激に多くなる.一方, 同じ拘束圧下での密づめ供試体とゆるづめ供試体の粒子破砕量は, ややゆるづめ供試体の方が多い.4.供試体に加えた拘束圧σ_3=1〜50kgf/cm^2を低圧域(1〜6kgf/cm^2), 中圧域(10〜30kgf/cm^2)及び高圧域(30〜50kgf/cm^2)とわけて強度定数c_d, φ_dを求めた.各拘束圧域における強度定数を比較すると, c_dはどの圧力域でも密づめ供試体がゆるづめ供試体より大きい.φ_dは低圧域で密づめ供試体がゆるづめ供試体より大きな値を示すが, 中圧域以上では密づめ供試体とゆるづめ供試体は同じ値を示す.5.中・高拘束圧域では強度定数φ_d, c_dの値は, 初期密度, 拘束圧, 破壊時の密度及び粒子破砕に支配される.拘束圧が高くなると, 粒子破砕による塑性的な圧縮変形の増大のために軸差応力の増大が押さえられ, 拘束圧の増加に伴い密度が増大するにもかかわらず最大軸差応力の増加割合が減じて, 中・高拘束圧におけるφ_dが低拘束圧における値よりも小さくなるものと考えられる.
- 鹿児島大学の論文
- 1989-03-15
著者
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