灌漑による畑土壌の改良に関する研究 : 第2報熊本県球磨郡における火山灰土壌の改良に関する研究

概要

論文の詳細を見る
この報告は熊本県球磨地区に分布する生産力の極めて低い不良火山灰土壌よりなる畑地に成分含量の稀薄な球磨川の水を灌漑して土壌改良を行つた畑地灌漑試験の成績である.その成績を要約すると次の通りである.1.成分含量の稀薄な球磨川の水を用いても白川の水を用いた合志の場合と同様に土壌の改良の効果は顕著である.2.球磨地区における不良火山灰土壌の改良に必要なる灌漑水量は延べ10乃至15日間灌漑相当量で充分である.3.黒色火山灰土壌は珪酸よりも石灰をより多く吸収し, 反之, 黄褐色火山灰土壌は石灰よりも珪酸をより多く吸収した.そして珪酸の吸収量は後者において前者より遙かに大きい.4.再灌漑によつてさらに塩基を集積し, 反応(pH)を高め, 置換酸度を低下した.5.灌漑による塩基の土壌における集積は表層程多く, 下層に行くに従つて漸減する.6.土壌改良を目的とする灌漑と旱害防止を目的とする灌漑の所謂2本立の灌漑実施によつてこの種不良土の畑地の生産力の向上と作の安定がえられる.7 灌漑に依つて短期間に改良された直後の土壌の腐植はその量及び質的な変化は殆んど認められない.
鹿児島大学の論文