Cycasinを大量に調製する試みについて
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概要
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cycasinをソテツ種子から大量に調製するため, 従来の方法を簡略化し能率の向上をはかった.その要点は次のとおりである.1.ソテツ種子中の酵素の不活性化に, オートクレーブで加熱する方法を採った.2.抽出には大容量のパーコレーションを工夫し, 磨砕した仁(胚乳部)を0.1N塩酸で連続浸出した.この酸度はcycasinには害はなく, これと最も分別し難いシュクロースの転化を促進した.転化糖は活性炭カラムにおいて容易に分別できるので, このことは極めて有利であった.3.イオン交換樹脂で, 塩酸ならびにイオン性低分子物質を浸出液から除去し, 活性炭カラムの負担を軽減した.この操作は同時に, ソテツ種子中のアミノ酸の分離・検索をも目的としたものであった.4.大量の抽出液は濃縮する必要はなく, 活性炭カラムにcycasinを吸着せしめ, これを含まない通過液として廃棄することによって、処理することができた.カラムは主として20%エタノールで溶出し, 乾涸してcycasinを結晶化しうる溶離液を集めた.5.cycasin特有のシアン反応, 結晶化の可否, またガスクロマトグラフィーによる検索は, 調製全過程の追跡に極めて有用であった.ソテツ種子330kgの仁(胚乳部)170kgからcycasin285g(仁新鮮重の0.17%)を得た.
- 1971-09-25
著者
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小林 昭
生物化学及び栄養化学研究室
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小林 昭
Laboratory of Biochemistry
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室園 利明
生物化学及び栄養化学研究室
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室園 利明
Laboratory of Biochemistry and Nutritional Chemistry
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