特別支援教育の実践活動をめぐる課題 : 通常の学級の整備と大学生の活用(IV 教育心理学と実践活動)

概要

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特別支援教育体制の整備に際して,(1)通常の学級の基盤整備という課題と,(2)財政的問題の解決策としての大学生の活用という課題に着目した。これらの課題を解決するためのバックアップ体制の構築について,包括的に展望することを本研究の目的とした。実際に3自治体における実践活動の問題点を整理した。大学生の活用と,大学生が日常的に学校現場を体験できるように通常の学級の受け入れ体制を整備することは,相互補完的な関係にあることが望ましい。けれども,(1)必要資格や学修要件,(2)教育研修の体系,(3)スーパービジョンの体制は,いずれの自治体においても,条件整備が十分でなかった。前記の条件を整備する第一義的な責任は教育委員会にあり,Balshaw(1991)が示す6点のガイドラインや本田(1999)が言及する事業担当者と大学関係者との相談・協議方法を参考にできる。また,大学も特別支援教育に関わる実践活動を展開する中で,アクション・リサーチを推進することができる。そして,その調査・研究の知見を教育委員会がイニシアチヴを発揮する有力な根拠として提示することで,人材養成等の観点からも多くの示唆を得ることが期待される。
日本教育心理学会の論文
2006-03-30