ヒト大脳皮質の形態計測学的研究 : MRI画像の3次元解析

概要

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ヒト大脳皮質の連続前額断MRI画像から,その立体構造をコンピュータで復元し,大脳両半球皮質の表面積,容積,厚さの形態計測学的パラメータを3次元定量学的に解析し,脳構造についての各種の計測値を得た。大脳左右半球皮質の値は(1)平均表面積(右側1,136.7±226.4cm^2,左側1,167.6±218.2cm^2),(2)平均容積(右側208.8±39.4cm^3,左側207.4±39.5cm^3),(3)平均の厚さ(右側2.8±0.4mm,左側2.8±0.3mm)であった。統計学的に検討(t検定)すると,大脳左右半球の皮質に有意の差が見出せなかった。従って,大脳半球の機能の非対称性(優位言語左脳)に対する形態計測学的対称性と,大脳の構造についての各種の形態計測学的測定値が明らかとなった。最近,MRI画像の3次元計測学的研究でも我々と同じ結果(Sisodiyaら1996)が得られているが,Geschwindら(1968)の構造上の非対称性は,多分切載位置のずれによるものであり,今後人間以外の言語をしゃべらない動物脳との比較検討や神経組織化学的解析が望まれる。