ムラサキイガイの生態学的研究 III : 親個体群中における新規定着群の消長
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概要
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神戸港に近い2カ所の海岸岸壁からムラサキイガイの個体群標本をその定着直後から個体群が消滅するまで連続採集した。そして, それらの標本の個体数を求め, 全ての個体について年齢査定を行い, コホートごとに湿重量を求めた。それにより次のことがわかった。コンクリート壁面が潮間帯に建設されると最初の年に主年齢群が定着して同年齢組成の個体群が作られる。その年以後そこへ移入してくる新規定着年齢群は最初の年に定着したコホートの定着数に比べ個体数が1桁ないし2桁も少ない。移入年齢群の数は定着期には成貝の個体数又は全体重量に比例する。それは移入年齢群が成貝の足糸のみに付着し, コンクリート壁面には直接定着しないためである。一定した移入年齢群は急速にまびかれる。それは成貝との競争の他にイソガニによる捕食の効果が大きいためと考えられる。本種個体群は次世代を維持することなく一代限りで消滅する。この種はこのような世代の維持が同じ場所でできないことから, たえず新しい住み場所をさがし求めなければならない。
- 日本貝類学会の論文
- 1984-07-15
著者
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