コウダカカラマツガイ科 2 種の精子の微細構造
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概要
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コウダカカラマツガイ科に属するカラマツガイとキクノハナガイの成熟精子の微細構造を電子顕微鏡と光学顕微鏡を用いて観察した。カラマツガイの精子は全長が約566.8μmで, 1.1μmの先体を含む約6.5μmのねじれた頭部をもっていた。一方, キクノハナガイの精子は全長が約766.6μmで, 頭部の長さは約5.4μmであった。両種とも核の基部にはくぼみがあり, そこに円錐状構造がみられた。軸糸の中心小管は, この円錐状構造から伸びており, 外側粗大繊維もこの構造に続いていた。円錐状構造の後方には円柱状物質がみられた。頸部における外側粗大繊維には規則的な明暗の縞模様がみられ, この周期はカラマツガイでは480Å, キクノハナガイでは380Åであった。中片部は, 両種とも全長の約90%を占め, ミトコンドリアの派生物が軸糸のまわりを取り囲んでいた。ミトコンドリアは, 基質が凝縮した部分と, 蛋白性の結晶といわれる部分とに変化していた。軸糸は中片部の前方では9+9+2の軸構造をもっていたが, 外側粗大繊維はしだいに細くなり, 消失していった。3本のミトコンドリア派生物によるらせん構造が中片部の前方にみられ, そのうちの大きな1本はグリコーゲン顆粒を含み, 小さな2本はミトコンドリアの基質を含んでいた。両種とも, 中片部の終わりには終輪があり, 終輪より後方の後片部は, ミトコンドリアの替わりにグリコーゲン顆粒が軸糸を取り囲んでいた。このようにグリコーゲン顆粒が軸糸を取り囲む構造は, 他の基眼類で報告された特徴と一致していた。末端すなわち終末部は9+2の軸構造だけになっていた。構造的にみると, 両種とも, 基眼類に共通する後片部をもつ一方, らせんの数や頸部における円錐状構造などの柄眼類に一致する特徴をもっていた。
- 日本貝類学会の論文
- 1984-07-15
著者
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