低心機能を伴った虚血性心筋症に対する左室縮小形成手術成績
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概要
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左室心筋の広範な虚血とそれによる左室拡大および低左心機能を伴う虚血性心筋症は一般に予後不良な疾患である.この虚血性心筋症に対して,Dor手術やSAVE手術などの左室縮小形成術を行った症例の早期成績を検討した.2001年4月から2004年8月までに当施設で左室縮小形成術を施行した9例を対象とした.これらの症例に対し,on-pump beating下で冠血行再建術を行ったのち,軽度低体温で左室縮小形成術(Dor手術8例,SAVE手術1例)を施行している.また,僧帽弁閉鎖不全症(MR)合併例では僧帽弁輪形成術(MAP)を施行している.術後の検査では,LVEFは31.6±7.2%から47.8±9.4%へ改善,LVEDVIは166.7±50.4ml/m^2から102.6±23.0ml/m^2,LVESVIは114.4±34.7ml/m^2から52.4±16.6ml/m^2と縮小されていた.MRは術前1.7±1.1度から術後0.2±0.4度とMAP未施行症例においても軽快していた.Coaptation depthは9.3±3.1mmから4.5±1.4mmと減少しており,tetheringの軽減を認めた.在院死亡はなく,7/9例(77.8%)が術後NYHA I度にて良好に経過している.低心機能を伴った虚血性心筋症において,冠血行再建術に加えて左室縮小形成術を行うことにより,左室容積を縮小させ心機能は改善し,良好な予後を期待できる.
- 特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会の論文
- 2006-07-15
著者
-
日置 巌雄
三重大学胸部外科
-
日置 巌雄
高知市病院企業団立高知医療センター心臓血管外科
-
田中 哲文
高知市病院企業団立高知医療センター心臓血管外科
-
岡部 学
高知市病院企業団立高知医療センター心臓血管外科
-
田中 仁
高知市病院企業団立高知医療センター心臓血管外科
-
三宅 陽一郎
高知市病院企業団立高知医療センター心臓血管外科
-
半田 武巳
高知市病院企業団立高知医療センター心臓血管外科
-
岡部 学
高知県・高知市病院企業団立高知医療センター循環器病センター
-
岡部 学
高知市立市民病院 皮膚科
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