地域博物館の役割変化と生態学(<特集2>博物館の生態学-市民と生態学者をいかにつなげるか-)
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概要
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日本の社会の中で、地域博物館が研究機関の一つとして位置づけられるようになってきたのは1980年代になってからであり、その動きは1990年前後から加速した。同時に、顕在化した生物多様性の減少や生態系の劣化等の問題に対応していくことが、博物館に求められるようになった。生態学が博物館の中で扱われる領域として取り込まれ、博物館で働く生態学研究者が増加してきたのは、このような社会的背景による。今日の博物館は、標本資料等を分類・保管するだけでなく、「人間と自然との共生のあり方」を検討・提言し、そして、「地域課題にこたえる」ことが必要となっている。この中で、フィールドに内在する人と自然との関係を読み解いていくことが、地域博物館における生態学の主要なテーマの一つである。地域博物館の学芸員としての生態学研究者には、「地域住民自らが地域の自然や文化のあり方に目を向け、その地域の自然の状態や、自然と人間との関係を見直すことができるようになり、そして、それぞれの地域を住民自らが評価できるようになることを支援していく」役割が求められている。そのため、地域住民とともに研究活動等を行うことをとおして、地域住民が地域の文化や自然と結びついていくための仕組みを作っていく必要がある。地域博物館は、設置者、設置目的、規模等において千差万別である。それぞれの博物館の役割や持ち味を確認しながら、互いにそれらを活かせるよう連携していく必要がある。「地域貢献」が必要とされる地方大学でも、博物館と類似した目標に基づく活動が増えてきており、そのような大学との連携強化のあり方も考えていかなければならない。
- 日本生態学会の論文
- 2005-12-25
著者
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