1 心療内科の頭痛(シンポジウム 各科領域の頭痛,第596回新潟医学会)
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概要
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心身医学外来において診療を行なう患者の頭痛は国際頭痛学会の分類に基づけば,一次性頭痛すなわち慢性頭痛の診断がつく場合が多い.当科での過去10年における外来患者の病名調査から,その治療法を含めて心療内科で扱う頭痛について報告する.1992年から2002年までの10年間の新潟大学医歯学総合病院心身医学外来での新患外来患者は1353名であり,その54%の患者には身体疾患が合併していたが,その身体疾患別では消化器疾患が26%と最も多く,続いて頭痛を含む神経・筋疾患であり7%であった.そして当外来の頭痛(筋緊張性頭痛,慢性頭痛など)患者は全体の3%であった.その頭痛患者41名の平均年齢は37.6±17.4歳,性別は男性41.5%,女性58.5%,診断としては緊張型頭痛が24.4%,片頭痛が7.3%,その他の頭痛68.3%で,抑うつが合併していた割合は39%であった.診断を進める際には,詳細な問診を初診患者に行なうことで心理的な背景を把握し,「心身相関」という立場から診断を行なっている.また身体疾患の鑑別が必要である.頭痛と診断された患者に抑うつが合併していた割合は39%であったが,うつ病では精神症状以外に頭痛などの身体症状を認める場合が多い.当外来ではうつ病という診断がついた場合,精神科へ紹介することを原則としている.頭痛と診断された患者に対して,治療期間に使用された薬物としては,抗不安薬が78.9%,抗うつ薬が63.2%,鎮痛薬が19.5%,筋弛緩薬が10.5%,漢方薬が5.3%であった.これらからみると,心身医学外来の頭痛患者には抗不安薬,抗うつ薬が多く使用されていることが明らかになった.薬物療法と同時に,心理社会的因子と頭痛との心身相関に気づきをもたらすようなかかわりも行っている.心身のリラグゼーションとして,自律訓練法,バイオフィードバック法が広く行なわれ,当科でも自律訓練法は42.5%の患者に対して治療法として導入していた.心身医学外来での頭痛患者は頭痛の背景に心理環境的な要因や生活リズムの乱れも認められることが多く,薬物療法のみではなく自律訓練法やバイオフィードバック療法などによりセルフコントロールを促すことが重要である.そして何よりも患者の訴えを受容し支持し保証するということが基本であると考えられる.
- 新潟大学の論文
- 2004-12-10
著者
-
村松 芳幸
新潟大学医学部保健学科
-
下条 文武
新潟大学大学院医歯学総合研究科臨床感染制御学分野(第二内科)
-
片桐 敦子
片桐医院
-
真島 一郎
新潟大学保健管理センター
-
真島 一郎
新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻内部環境医学講座
-
下条 文武
新潟大学医歯学総合病院第二内科
-
片桐 敦子
新潟大学大学院第二内科
-
片桐 敦子
新潟大学 第2内科
-
下条 文武
新潟大第二内科
-
佐々木 夏恵
新潟大大学院内部環境医学講座
-
佐々木 夏恵
新潟大学大学院医歯学総合研究科内部環境医学講座(第二内科)
-
真島 一郎
新潟大学第2内科
-
下条 文武
新潟大学大学院医歯学総会研究科 内部環境医学
-
村松 芳幸
新潟大保健学科
-
村松 芳幸
新潟大学医学部 保健学科
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