一過疎地域における高齢者死因構造の変遷 : 特に脳血管疾患について

概要

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福島県只見町は,1985年において人口6,731人の小さな町であり,65歳以上の老年人口は1,247人(18.5%)である。1969年当時,この町は全国市町村死亡統計では,特に脳血管疾患による死亡が高率な地域であった。その後,1983年以降,同地で行った65歳以上を対象とした老人健診の印象で,必ずしも脳血管疾患の額度が高くないと思われたので,人口動態統計をさかのぼって只見町全体の死亡を調査した。脳血管疾患による死亡は全国的にも低下してきているが,只見町の減少は特に急激であることがわかった。そこで,前記の65歳以上の健診受診者1,084人のコホート調査から65歳以上の死亡を調査してみたところ,平均死亡年齢が82.1歳と全国の76.1歳に比べて高く,また,主要死因順位(第1位;心疾患,第2位;悪性新生物,第3位;老衰)も,全国の主要死因順位(第1位;悪性新生物,第2位;心疾患,第3位;脳血管疾患)と異なっていた。従って,只見町のような小地域における統計では,平均死亡年齢の上昇が,死因構造の変化に影響することが示唆された。
北里大学の論文
1996-12-31