国際的質問紙法心理テストのオリジナルMMPI(MMPI-1)とMMPI-2の連続性について : 邦訳版による伝統的基礎尺度保持の検討
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概要
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質問紙法心理テストとして国際的に高く評価されていたMMPI-1が,1989年に大幅に改訂されMMPI-2が誕生した。MMPI-1より引き継がれた基礎尺度に関して,MMPI-2の評価を行うために,311名の女子学生にMMPI-1,あるいはMMPI-2を約1か月間隔で2回施行した。MMPI-1を2回施行した第1グループ,MMPI-2を2回施行した第2グループ,MMPI-1とMMPI-2を施行した第3グループの比較結果から,次のような結論を得た。1)第1,第2グループのtest-retest相関係数比較結果から,高い尺度scoreの再現性が認められ,測定値の安定性という意味において,MMPI-2はMMPI-1と同程度の信頼性があることがわかった。2)第3グループのtest-retest相関係数比較結果と,第1,第2グループの第1回目施行における各尺度の平均値の差の検定結果より,MMPI-1を基準テストと考えた場合,MMPI-2はMMPI-1と同一概念を保持し,妥当性があることがわかった。3)因子分析の結果,MMPI-1とMMPI-2の因子構造はほぼ同一であった。4)各尺度の同じraw scoreをlinear T-score,あるいはuniform T-scoreに変換した場合,MMPI-1とMMPI-2のプロフィール形態はMf尺度を除き,類似していた。MMPI-2における変化はこれまでMMPI-1で保証されていた心理学的測定道具としての特性を変えるものではなく,基礎尺度に関しては実質的に同一のものであると考えられた。
- 北里大学の論文
- 1998-12-31
著者
-
小口 徹
北里大学看護学部・精神看護学
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小口 徹
北里大学東病院精神科
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小口 徹
北里大学看護学部
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新開 淑子
北里大学医学部・衛生学・公衆衛生学
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新開 淑子
旭川医科大学看護学科
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岸野 洋久
東京大学総合文化研究科
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