陳沂詩文補遺
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概要
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Some Unpublished Pieces by Chen Yi 陳沂(一四六九-一五三八)には『拘虚集』五巻・『拘虚後集』三巻・『拘虚詩談』一巻・『游名山録』四巻・『陳石亭先生文集』十二巻などの著作がある。『拘虚集』は、陳沂が出仕する前から翰林院学士や山東左参議となる前後に至るまでの詩作を自ら選定し、門人の陳儒によつて一五三二年に刊刻されたものである。この原刻本は見ることができないが、幸い任卿が原刻本を復刻した重刊本(一五三三年十月から一五三五年二月までの間と推測される)は、いま台北中央図書館に現存されている。しかしこの任卿の重刊本は巻二と巻三に各々一頁、計五律五首・七律四首が欠けている。『拘虚後集』は陳沂が政界を引退した後の詩作を収め、一五六二年七月その子の陳叔行によつて刊行されたものである。これは陳沂没後二十五年目のことである。また『石亭文集』は陳沂の長子時萬と従子時伸が家蔵の遺稿を収集して一五六五年に刊刻したもので、いま日本尊經閣に収蔵されており、任卿の重刊した『拘虚集』とともに天下の孤本である。なお『拘虚詩談』と『游名山録』の編者や刊行年月については不明であるが、この二書は張寿〓の収集によつて一九三四年三月前述の『拘虚集』と『後集』の後に附刻され、『四明叢書』第四集巻十に収められている。しかしそのうちの『拘虚集』は任卿の重刊した欠頁本を再刻したものであるために、欠頁の状況が依然そのままになつている。かねてから『拘虚集』巻三に欠けていた陳沂の『憶昔』詩其の四を探すために筆者は、一九九七年度の海外研習を利用して、明清の書画資料を収集する傍ら、台北故宮博物院や中央図書館等にある陳沂に関する資料をできる限り精査した。その結果、ここに掲載した十二篇の佚詩佚文を発見し、陳沂の詩文集を補遺すべくこの一文にまとめた。録出した佚詩佚文の後に出典を明示し、それぞれの内容や関係人物および年代などについて考証を行い、陳沂研究における一層の進展を願うものにしたい。なお文末に掲載されている図版は、二玄社の高島義彦・西島慎一両氏のご協力によるものである。ここに誌して謝意を表したい。
- 桃山学院大学の論文
- 2000-12-20
著者
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