キノア果皮抽出物の胆汁酸吸着作用と作用物質の検索
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概要
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キノア果皮を70℃温水,50%エタノール,メタノールでそれぞれ抽出し,また,70℃温水で抽出した抽出液を透析した。これら4種類のキノア果皮抽出液を凍結・凍結乾燥し,タウロコール酸を用いて胆汁酸吸着活性を測定した。その結果,温水抽出物であるQPEDが最も高い値を示したため,主な活性物質は水溶性であると考えられた。胆汁酸吸着活性物質を検索するため,QPEDをSephacryl S-300を用いてゲル濾過クロマトグラフィーにより分画した。その結果,中心分画分子量3.7×10^5,2.8×10^3,9.5×10^2にピークが認められた。また,3.7×10^5の画分のみに280nmの吸収が認められた。これらの画分の胆汁酸吸着率を測定した結果,ピークが認められた画分の全てが10%前後の胆汁酸吸着率を示した。また,中心分画分子量3.7×10^5,2.8×10^3,9.5×10^2に活性が認められたことから,活性物質は高分子物質であると考えられる。次に,タンパク質分解酵素であるプロティナーゼKをQPEDに作用させ,胆汁酸吸着活性の有無を測定した結果,胆汁酸吸着活性に変化は認められなかった。さらに,ゲル濾過クロマトグラフィーにより分画したQPEDを加水分解して薄層クロマトグラフィーで展開させたところ,主なスポットとしてマルトースが検出された。以上のことから,活性物質はマルトースを主な構成糖とする多糖であると推測している。
- 昭和女子大学の論文
- 2004-12-01
著者
-
高尾 哲也
昭和女子大学生活科学部
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高尾 哲也
生活科学科
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油原 佳奈
生活機構研究科生活科学研究専攻2年
-
宇田 明子
平成14年度生活科学科
-
山本 織絵
平成14年度生活科学科
-
高尾 哲也
昭和女子大学健康デザイン学科
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