妊娠マウスにおけるエタノール誘発性DNA損傷のComet法を用いた検出(公衆衛生学)
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概要
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エタノールはアルコール飲料の主成分であるが, ヒトの発癌物質とされており神経毒性を有する.妊娠期の過剰なアルコール摂取は胎児アルコール症候群を誘発する.発癌性や催奇形性にはDNA損傷が関与しているという考えから, 本研究ではエタノールにより誘発されるDNA損傷についてComet assayを用いて検討した.妊娠7日のマウスにエタノール2, 4または8g/kgを経口投与し, 一定時間後に臓器および胚子を摘出し, Comet assayを用いて各臓器および胚子におけるDNA損傷を検討した.その結果, 4および8g/kg群の脳, 肺および胚子において有意なDNA損傷の増加が認められた.アセトアルデヒドの影響を検討するために, アセトアルデヒド脱水素酵素阻害薬であるdisulfiramを投与し, エタノール4g/kg投与によるDNA損傷の増強について検討した結果, 増強効果は認められなかった.以上のことからエタノールによりDNA損傷が誘発されること, 誘発されたDNA損傷がエタノール毒性に何らかの関連があること, また今回認められた損傷はアセトアルデヒドによる影響ではなく何らかの異なる機序によるものである可能性が示唆された.
- 2006-01-25
著者
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木戸 亮子
岐阜大学大学院連合獣医学研究科
-
佐藤 至
岐阜大学大学院連合獣医学研究科
-
津田 修治
岐阜大学大学院連合獣医学研究科
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佐藤 至
岩手大学農学部獣医公衆衛生学教室
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津田 修治
岩手大
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木戸 亮子
岐阜大学大学院連合獣医学研究科:岩手大学農学部獣医公衆衛生学教室:(財)食品農医薬品安全性評価センター
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