腺腫成分の有無からみた十二指腸乳頭部癌症例の臨床病理学的検討 : p53およびPCNA免疫組織化学を中心として
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概要
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近年, 十二指腸乳頭部癌の発癌過程における adenoma-carcinoma sequence の関与が推測され, 前癌病変としての腺腫の重要性が指摘されているが, 種々の分子生物学的因子の adenoma-carcinoma sequence における意義は未だ不明な点が多い。今回我々は十二指腸乳頭部癌の腺腫成分の有無に注目し, 臨床病理学的因子および, p53と proliferating cell nuclear antigen (PCNA) 蛋白発現からみた腺腫成分の意義を考察した。臨床病理学的には低分化型腺癌で腺腫成分を認めなかった以外には, 年齢, 性別, 予後, 腫瘍径, 膵浸潤, 十二指腸浸潤, リンパ節転移で腺腫の有無により有意差を認めなかった。腺腫の有無によるp53異常蛋白発現率には有意差が認められなかったが, 同一症例内での癌部分と腺腫部分の比較において, 癌部分でのp53異常蛋白発現は14.3%に diffuse に, 28.6%に focal に認められ, 腺腫部分では7.1%に diffuse に, 14.3%に focal に認められ, 正常粘膜では全く認められなかった。同一症例内の癌部分のPCNA labeling index (LI) は腺腫部分および正常粘膜に比べ有意に高く, 腺腫部分のPCNALIは正常粘膜とほぼ同じ値を示した。以上から乳頭部癌において adenoma-carcinoma sequence が分化型腺癌の発癌に重要で, p53とPCNAは乳頭部癌における癌と腺腫との組織学的鑑別診断に有用と考えられ, その臨床応用が期待された。
- 神戸大学の論文
著者
-
小野山 裕彦
大阪府済生会中津病院外科
-
味木 徹夫
神戸大学大学院肝胆膵外科学
-
小野山 裕彦
済生会中津病院外科
-
山田 勇
神戸大学大学院外科学講座肝胆膵外科学
-
黒田 嘉和
神戸大学大学院食道胃腸外科
-
前田 盛
神戸大学大学院分子病理学
-
黒田 嘉和
神戸大学大学院 消化器外科
-
黒田 嘉和
神戸大学大学院医学系研究科消化器外科学
-
味木 徹夫
神戸大学大学院医学系研究科応用分子医学講座消化器外科学
-
前田 盛
神戸大 大学院医学系研究科 分子病理学分野
-
前田 盛
神戸大学医学部第二病理
-
前田 盛
兵庫県立柏原病院 内科
-
前田 盛
神戸大第2病理
-
味木 徹夫
神戸大学大学院 消化器外科
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