酸性雨による銅製建造物の溶解 : 溶解銅イオンの土壌中における挙動

概要

論文の詳細を見る
1) カラム内の土壌を流れた雨のpHは6前後の値をとり、土壌のH_+交換反応が見られた。土壌のイオン交換能によりH_+が吸着されたことによると考えられる。土壌を通過した雨水の分析では、Mg_2+及びCa_2+の濃度が高くなっており、このことを示唆している。 2) カラム内の土壌を流れた雨とカラムを通らなかった雨を比較すると大部分の雨水中の銅(II)イオンは土壌に吸着されて銅イオンは検出されなかった。銅イオンの吸着は表層土では腐植表面の官能基(カルボキシル基や水酸基)に保持されていると考えられる。粘土が主と考えられる下層土では粘土鉱物に保持されたと考えられる。一方、カラムが長期間雨水にさらされたとき銅イオンが検出されたのはカラムの壁面などに水路ができていることも原因と考えられる。カラム内の土壌を上部、中部、下部の3区分に分割し、それぞれの土壌中に含まれる銅イオン濃度を測定した。耳納山麓土壌では、どの部位ももとの土壌よりも高い銅濃度を示した。油山の土壌では、上部でもとの土壌よりも高い銅イオン濃度を示した。どちらも上部に高濃度の銅イオンが検出され、雨水中の銅イオンの大部分はカラム上部の土壌に吸着されたと考えられる。金属(II)イオンは下部に移動しにくいことが知られており、このことを示唆している。 3) 溶液のpHが異なると、銅イオンの吸着量に変化が見られるかを調べるためにバッチ実験を行った。溶液のペーハーを3,4,5にして実験を行ったが、ペーハー4,5では銅の吸着量に大きな差は見られなかった。しかしpH3のときはpH4,5に比べると吸着量が減少した。表層土と下層土の吸着量を比較してみると、下層土よりも表層土の吸着量が多かった。粘土鉱物を多く含む下層土では、特異吸着による銅イオンの吸着が考えられ、H_+の特異吸着によって銃金属イオンの特異吸着が抑制された可能性が考えられる。
2005-03-04

酸性雨による銅製建造物の溶解 : 溶解銅イオンの土壌中における挙動

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク