長期在院精神分裂病患者に対する集団生産作業の治療的利用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
思春期に精神分裂病を発症し、長期在院によって年齢相応の生活課題を達成してこなかった症例に、個人作業療法と集団生産作業療法を用いた。個人作業療法では、症例の心理的サポートや個人的な問題や生活障害を扱い、ストレス-対処技能モデルを利用して症例が問題解決の方法を学ぶ場とした。集団生産作業ではその構造的特徴から、上下関係しか持てなかった症例の発達レベルにあわせて横の対人関係を発展させることができた。またそこで症例は集団に受け入れられ、自己認知し、他愛的行為を通して喜びを見いだし自己有能感をもつという体験ができた。退院後症状悪化するが、生産作業が症例の中で体験的に生産作業が「意味ある作業」になっていたことで、作業依存し新しい集団に慣れていくことができた。このように集団生産作業を治療的に有効に用いるためには、個人作業療法との相補的プログラム構成が重要であり、批判の多い生産作業は治療的に有効に利用できると示された。
著者
-
四本 かやの
神戸大学 医学部保健学科
-
四本 かやの
神戸大学大学院保健学研究科
-
四本 かやの
神戸大学医学部保健学科
-
四本 かやの
Faculty Of Health Sciences Kobe University School Of Medicine
関連論文
- 作業療法面接場面からみた統合失調症患者のパーソナル・スペース
- 急性期統合失調症の作業遂行能力客観評価尺度の開発とその信頼性と妥当性
- 緊張病性昏迷をきたした統合失調症患者に対する作業療法の実践
- 精神障害者の学内実習参画による学生の臨床における技能・態度についての自己認識と精神障害者に対するイメージの変化
- 統合失調症者のパソコン操作技能習得における困難の分析
- 生産作業と創作作業による精神分裂病患者の行動の違い
- 離院と自殺企図を繰り返す統合失調症患者に対する1対1作業療法の意義について
- 長期在院精神分裂病患者に対する集団生産作業の治療的利用
- 対象者の社会復帰に対する作業療法士の期待 : 精神病院に勤務する作業療法士へのアンケートから
- 生産作業と創作作業における精神分裂病患者の行動の違い
- 慢性分裂病者に対する就労援助 : デイケアを利用した一事例
- 破瓜型精神分裂病の注意障害と再発防止に対する適応的アプローチの経験
- デイケア長期利用者における長期利用の背景とその対応について