漁場の所有・利用形態 : 韓国のワカメ漁場を事例に
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
韓国では海藻の利用は多いが、とくにワカメは日常の食料だけでなく、近代医学が発達した今日においても命の尊さを司るため行われる儀礼の供え物として用いられている。また、安価の養殖ワカメが大量生産されているにもかかわらず、天然であることで高級贈答品としての社会・文化的価値を生み、経済的価値の高い商品として用いられている。同時に韓国ではワカメが採取できる藻場(岩)は土地と同じく不動産としての価値が付けられている。そのため、ワカメ漁場の所有・利用形態は村ごとに異なり、複雑であるが、ワカメ漁場の所有形態はほとんど共有であり、その利用形態は村民か漁村契員がくじ引きをし、共同で生産・分配するか個人で生産・所有するものとして特徴づけることができる。これはワカメに対する社会・経済・文化的価値が、独特のワカメ漁場の所有・利用形態を作り出していると思われる。なお、漁場面積は減り、漁業者数は毎年減少しているにもかかわらず、ワカメ漁場利用が綿々と続いているのは、ワカメ漁を行う村の生業形態が専業ではなく半農半漁であることと、ほとんどが海女によってワカメ漁が行われていることを明らかにした。
- 2005-03-22
著者
関連論文
- 日本東北地域アマ(海女・海士)の水産資源利用形態(1)
- 韓国セマングム干潟の干拓事業と漁民の生活戦略
- 近代化と対馬海流域アマ(海士・海女)の漁業戦略
- 地域文化の生成と変容 : 油津の「飛次郎延え漁」の事例から
- 地域文化の生成過程 : 鯨とのかかわりをとおして(1)
- 日本東北地域アマ(海女・海士)の水産資源利用形態(1)
- 海とヒトの地理学−変動する自然・社会と漁業文化の現在−
- 漁場の所有・利用形態 : 韓国のワカメ漁場を事例に
- 非日常的資源利用のための戦略 : 日向灘ハマグリ碁石を事例に
- 磯資源の利用と食文化に関する事例研究(1)日向灘沿岸を中心に
- 韓国のお産文化
- 日韓海女の磯資源利用と保全に関する海洋人類学的研究 : 選択される「近代化」と「伝統」
- O14. 干潟の地形学的定義の再検討 : 礁池,外洋砂浜,エスチュアリーに形成される干潟の位置づけをめぐって(一般研究発表(口頭発表),2012年度秋季研究発表会)