鹿児島県における遊漁船業の安全確保に関するアンケート調査
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
改正された遊漁船業の適正化に関する法律の重要な目的の1つとして,第1条に,遊漁船の利用者の安全確保が明記されている。楽しむべき遊漁において,海難事故等の発生は,遊漁船業者においてあってはならないことである。今回,遊漁船業者へのアンケート調査から主として,船舶の航海術・運用術の観点から遊漁船の安全確保に関する問題点等を指摘した。過去において,この種の報告は全国を通じてみられないため,他県との比較検討を行うことはできなかった。鹿児島県下の遊漁船業の形態は漁業と遊漁船業との兼業(70%)が多く,営業種類は船釣り業務が過半数(58%)を占めた。これら遊漁船業者はいずれかの団体に所属することを奨励されているが,約1/3弱の業者が団体に所属していない現状にあった。遊漁船の大きさは総トン数5トン未満が多く(71%),旅客定員は4〜15人が最多(81%)であった。乗組員数は船長一人のみが過半数(60%)を,船長の年齢構成は50代以上が大多数(79%)を占めた。また船長のほとんど(80%)が一級小型船舶操縦士免許の海技免状を所有しているが,大型免状を併せ持っている船長も存在(17%)した。出航・営業中止基準の風速は10m/s,波高2〜2.5m,視程500mとする業者が最多であり,他府県の遊漁船業者が定める基準とほぼ同様であった。この基準を励行するための気象・海象情報の入手方法は,出航時においてはテレビの天気予報,営業時には携帯電話使用によるものが最多であった。遊漁船に搭載されている主たる漁労・航海計器類はブラウン管式魚群探知機,GPS,レーダ,磁気コンパスであり,平成8年度に調査した結果と大差なかった。営業中におけるGPSの使用時間は,常時スイッチオンにして使用している船長が最多(65%)であり,レーダ使用時間は,営業中常時使用する船長はGPSに比べて少なく(18%),必要に感じた時のみ及び移動中のみ使用するとする両者の合計は79%に達した。またレーダ使用目的は他船の存在確認のためとする船長が多数(80%)を占めた。今回のアンケート調査を実施するに当たり,鹿児島県林務水産部水産振興課技術主幹兼漁業監理係長の高橋宏氏及び同課漁業監理係技術主査の山下善久氏には多大の便宜を図っていただいた。ここに感謝の意を表する。また多忙の中,多岐にわたる面倒なアンケートに回答下された多くの遊漁船業者の方々に深謝する。
- 2004-12-24
著者
関連論文
- スプリットビーム計量魚探機によるマアジのターゲットストレングス指向性パターンの測定
- 鹿児島港桜島水道南部水域における海上交通特性
- 鹿児島港周辺海域の水中音環境
- 航行中の船舶から放射される海中雑音の干渉効果
- 停泊中の船舶から海中へ放射される雑音の干渉効果
- 鹿児島湾桜島水道養殖場生簀内におけるカンパチの発する水中音
- ヒラメの聴覚閾値
- 鹿児島湾奥部海域の水中音環境
- 圧電センサを利用した魚類の聴覚閾値測定
- マアジの聴覚閾値
- 漁船の海中への放射雑音
- ティラピアの聴覚閾値測定
- 単体魚の背方向反射指向性パタ-ンのスペクトル解析
- 球体および魚体のエコ-波形と反射パタ-ンの変動
- GPSの測位結果について : 定点および航走中
- シーカヤックのレーダ有効反射面積
- 漁業練習船南星丸が放射する水中音
- 鹿児島県における遊漁船業の安全確保に関するアンケート調査
- 漁業練習船南星丸の船内騒音
- 漁業練習船南星丸のレーダ有効反射面積
- かごしま丸機関室騒音と聴力障害
- かごしま丸の環境騒音レベル
- 材質の異なる小物標のレーダ有効反射面積
- シンガポール海峡,マラッカ海峡の地方磁気について
- 航行用100KHz電波帯の伝播特性の解析とそれらによる船位精度の改善…III : ロランC…III(日本航海学会第39回講演会)
- 航行用100KHz電波帯の伝播特性の解析とそれらによる船位精度の改善-I : ロランC…I(日本航海学会第38回講演会)
- ゼロ-クロッシング法による魚群遊泳音の周期解析
- 2球体の超音波(50kHz)反射パルス波形情報利用のための実験に基づく検討
- 単体魚の背方向反射指向性パタ-ンのスペクトル解析