小児期特有の疾患をもちながら生活してきた患者が、小児期から成人期へ移行する過程の体験
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概要
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小児から成人へ移行する時期にある患者は、どのような体験をし、どのような看護援助を必要としているのかを明らかにする目的で本研究を行った。研究方法は、研究協力に同意が得られた16歳から30歳の慢性疾患をもつ8名を対象に、半構成的インタビューを行い、グランデッドセオリーの手法により小児看護の専門家のスーパーバイズを得て、継続的比較分析を行った。本研究の結果は、オープンコーディングの分析段階において、移行しつつある患者の体験についての語りから浮上した塊を整理したものであり、以下の11の主要な特徴が見出された。1.「病気」であることは知っているが、「病気」をもつことの意味が分からない。2.(壁にあたって)皆と違う「病気の自分」を思い知る。3.病気をもつ自分と周囲の隔たりを感じる。4.病気の自分を受け入れてくれる「場」を求める。5.このまま頼ってはいられない。6.病気であることに馴れてくる。7.病気がもたらす限界に甘んじる。8.将来の見通しがたたない不安-不安を先送りにする。9.支えられている実感をもつ。10.限界があってもできることはあるはず。11.小児医療の世界と外の世界は違う。これらの特徴は、ある程度の順序性で並ぶことがうかがわれた。小児期に発病し青年期に達した患者が自分の病気に気づく上で、「壁にあたる」という身体の限界を自覚するような切り替えの時期があることや、「病気の私が私」のように病気と自分を結びつけて整理し、アイデンティティを築いていく成長過程があることがうかがわれた。
- 兵庫県立大学の論文
- 2004-03-31
著者
-
加藤 令子
茨城県立医療大学 保健医療学部看護学科教授
-
加藤 令子
日本看護協会
-
片田 範子
兵庫県立看護大学
-
来生 奈巳子
厚生労働省医政局看護課
-
加藤 令子
茨城県立医療大学保健医療学部看護学科
-
松尾 ひとみ
福岡県立大学看護学部
-
中野 彩美
高知女子大学看護学部
-
来生 奈巳子
厚生労働省
-
片田 範子
兵庫県立大学 看護学部
-
片田 範子
兵庫県立大学地域ケア開発研究所
-
片田 範子
兵庫県立こども病院 看護部
-
片田 範子
兵庫県立大学 看護学部 在宅看護学
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