都市林におけるシュロとトウジュロの異常繁殖 : V.林床実生個体群の成長過程と死亡要因
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概要
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マツ林床下におけるシュロの実生を用いて約3年間にわたる月別乾物生長, 死亡要因を調べ, 同時に林内照度, sunfecks, 気温の季節変化を測定しシュロの生長との対応を試みた。また前報(萩原, 1980a, b)の被陰格子内の生育との比較を行った。以下次のことが明らかになった。1. 林内の相対照度は夏季0.1%と低く, 4月下旬が最も高く2.5%となった。2. Sunfecksの割合は夏季2.3%と低く, 4月下旬が最も高く9.0%であった。3. 林外に比較し最低気温は冬で2.5℃高く, 最高気温は夏で2.5℃低かった。4. 実生の死亡要因としては胚軸伸長期の乾燥死が5%, 秋の落葉・落枝に被覆された死亡が3年間で18%, 1年目の冬の乾燥死によるものが15%, 虫害や競争によるものが4%であり照度不足が直接の原因と考えられる死亡は認められなかった。5. 乾物生長はきわめて遅く3年間で320mgと種子重の350mgまで達しなかった。6. 生長は年間を通し直線的で明瞭な生長休止期は認められなかった。7. 被陰格子内の実生との比較では2%照度区とほぼ等しい生長をしていることが明らかとなり, sunfecksの効果と秋から春の照度の上昇が生長の促進また生活の維持に大きく寄与していると考えられた。8. 1年目の実生の冬期の乾燥害は分布北限地域では, シュロの定着に大きな障害となっていることが予想された。
- 国立科学博物館の論文
- 1983-03-25
著者
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