学習意欲と学業成績の関係
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概要
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本研究は学習意欲を学習の動機づけの一要因であると考えにもとづいて,学習意欲が学業成績とどのような関係があるかを検討しようとしたものである。一般に,学習意欲は内的な動機づけによるところの学習者の自発的・自主的なものであるとみなされている。しかしながら,外的な動機づけ-学習活動そのものに興味・関心をもつのではなく,他の目的・目標の達成のための手段あるいは過程にみられる賞,罰,競争等一による場合でも,現象的には,いわゆる意欲的な学習が展開されることがある。本研究はこの点を明らかにするために,学習意欲を自主的学習意欲と他律的学習意欲に分けることを試みた。自主的学習意欲は主として,内的動機づけによって換起される意欲と考えられ,他律的学習意欲は主として,外的動機づけによって換起される意欲とみなされるであろう。さらに,自主的意欲の高い生徒は学習活動自体に興味・関心をもつ結果,効果的な学習活動を展開する。したがって,Over-Achieverといわれる生徒の学習意欲は自発的・自主的なものであろうと考えられる。一方,他律的意欲によって学習する場合,学習の開始や持続の点で,積極性が乏しく,学習の結果も望ましくないと考えられる。このような傾向はUnder-Achieverにみられる。以上の関係をみるために,中学生用の学習意欲検査,小学生用の学習意欲検査を作成し,それぞれは自主的意欲,他律的意欲の程度を得点によって示すことができるものとした。本研究の主な結果は,中学生を対象とした場合,数学と英語の学習において,自主的意欲の高い生徒はOver-Achieveの傾向があり,一方,他律的意欲の方が自主的意欲よりも強い生徒はUnder-Achiveの傾向がみられた。これに対して,小学生を対象とした場合には,学業成績がOver-Achieveであっても,Under-Achieveであっても,全体として,自主的意欲の方が他律的意欲よりも強い傾向が,一部の教科を除いて,全体的であった。このことは,教科の学習については目的性や方法,態度等において,発達的な差異からくるものと推測できる。この点については今後さらに検討を加えなければならない。Most of the previous studies of motivation have clarified that motivation has influenced on student's learning activities and scholarly attainment. The will-to-learn is one of important factors of motivation. The auther considers that such will-to-learn has a aspect of spontaneity by intrinsic motivation and of heteronomy by extrinsic motivation. The purpose of the present study is to clarify the relation between such will-to-learn and scholarly attainment of junior high school students and elementary school children. 177 junior high school students were asked thier will-to-learn on mathmatics and the English language by questionnaires. 168 elementary school children were asked thier will-to-learn on arithmetic, the Japanese language (Kokugo), social studies and science. The main results are as follows: (1) In junior high school students, in general over-achievers have high spontenious will-to-learn and under-achievers have heteronomious will-to-learn. (2) In elementary school children, most of them have a spontanious will-to-learn. Thus, in this case, the problem could not be solved.
- 大阪教育大学の論文
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