プログラム学習に関する研究(第3報) : 部分的強化とその効果について
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概要
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本研究は,プログラム学習の効果を規定する要因の研究として,強化の量的な効果とプログラムアイテムの質的な要因との関係を検討した。用いたプログラムは「割合」についてであるが,このプログラムを,27アイテムを説明的アイテムとし,18アイテムを練習的アイテムとした。実験は次の4つの条件のもとで行った。(1)全強化群(AR群)(2)説明部分強化群(Pi群),(3)練習部分強化群(Pd群),(4)非強化群(NR群)で,各群に小学校5年生20名ずつの被験者をあてた。被験者の選択は,算数標準学力検査による学力偏差値,レディネステスト得点,事前テスト得点によって,各群が等質になるように留意した。結果は,A学力段階を考慮しないで全体としてみた場合,B学力段階を考慮して考察する場合とに分けて分析を試みた。Aの場合には,(1)全強化群と(3)練習部分強化群が同じ程度の効果を示し,(2)説明的部分強化群はやや劣ることになった。さらに,(4)の非強化群は最も低い成績であった。この結果が何によっているかを見るためにBの手続をとった。すなわち,各学習条件群の中から,明らに高いとみられる学力段階とそれよりも低いとみられる学力段階とに区分し,高い学力段階(H群)と低い学力段階(L群)について分析した。その結果,H群では,全強化と練習部分強化はほぼ同じ学習効果をあげることができたが説明部分強化はやや劣り,非強化はさらに劣る結果となった。これに対して,L群では,全強化,練習強化,説明強化に差異はなく,ただ,非強化よりは有意に秀れていた。これらのことから,知能と同様に学力の高低が学習効果を規定するので,プログラミングにおいてもこれを考慮する必要がある。The purpose of this study is to test the effect of partial reinforcement upon programmed learning. Eighty children at the fifth grade of elementary school are divided into 4 experimental groups on the basis of scores on the readiness test, the pretest and the standard achievement test of arithmetic; AR (all reinforced learning) group is well trained by a programmed textbook of KCR for all 45 items. Pi (partially reinforced for illustrative items) group, trained by a KCR programmed textbook for 27 of 45 items. These 27 items illustrate arithmetic principles. Pd (partially reinforced for drill items) group, for 18 of 45 items. These are 18 items to drill children in arithmetic problems. NR (not reinforced) group learns a programmed textbook of no KCR for all items. In the main it is found that AR and Pd groups are superior to other two groups in the post-test scores, and the grade of children's learning attainments should be considered in programming.
- 大阪教育大学の論文
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