老人保健施設における手具体操と音楽演奏の効用(2)
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概要
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1.高齢者に対する手具体操と音楽演奏の効用を調査し,今後の指導の参考にするため,福岡県久留米市内の老人福祉施設K苑で指導後にアンケート調査を行った。設問は多項選択法と自由回答法で行い,各20名ずつの回答を回収した。2.手具体操に関する調査結果は体力面では,大部分が「安全で,激しい運動はなく,疲労が残らず,自分の体力に適していた」と回答していた。手具体操は初心者でも気軽に参加でき,仲間との共同体感覚があり,健康面での効用が望まれる運動として,高齢者に受け入れられていると判断できた。精神面では,「運動は比較的楽しく,満足感がある」と答え,体操のあと爽快感や楽しさを伴っていると考えられた。手具体操については,「体によく,手具は扱いやすく,重くなく,色や形も比較的気に入っている」と回答し,車椅子に乗っている高齢者も,手や腕を使い刺激になり,また様々な手具に興味を覚え楽しんでいると判断された。ただし,1ヶ月に1回の指導のため,手具体操を覚え,ふだんの生活で思い出し取り入れるまでには至っていないことがわかった。こうした運動や体操が1ヶ月に1回の単なる「レクレーション」に終わることなく,運動習慣の啓蒙普及活動がより必要であると考えられた。3.音楽演奏に関する調査結果では,音楽が好きと回答した者が大部分であり,音楽演奏にも好意的な印象をもっていることがわかった。音楽(歌)のうち,好きで,聴きたい,歌いたい曲は,いずれも同様の傾向があり,演歌,なつメロ,童謡の順であった。音楽を聴いた後,または歌った後は,「気が晴れる」,「楽しくなる」,「ほがらかになる」,「気持ちが安らぐ」等が上位をしめた。音楽演奏に癒し効果が認められることから,聴き手の好む音楽をできるだけ取入れていく必要があると思われる。クラシック音楽については,嫌いと解答した者も少なからずあり,演奏提供はどのような方法が望ましいか,あるいはどのような関わりを持たせるか等を研究すべき必要があると考えられた。音楽を通してさらに自己を磨きたいという意欲のある回答者がおられることも心強い。今後は,そのような方々の意見を汲み取り,努力と工夫を凝らして楽しんでいただける一時を創造すべく,そのための研究を今後続けていかなければならないと考える。
- 2004-07-01
著者
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