リン酸化オリゴ糖配合ガムによるエナメル質の再石灰化 : 第1報唾液のin vitro評価

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天然の澱粉は,その構成糖にリン酸基がエステル結合していることが知られている。著者らは馬鈴薯澱粉の加水分解物より,リン酸化オリゴ糖(POs;カルシウム塩)を調製した。本研究の目的は,このPOsを含有したシュガーレスガムを噛んだ際の分泌唾液を収集し,エナメル質の再石灰化への影響を調べることにある。健常成人6名を被検者として, 2.5%POs含有キシリトールガムおよびPOs非含有のキシリトールガムをコントロールとして噛んだ際の全唾液を採取した。被検材料にはあらかじめ脱灰したウシエナメル質ディスクを用いて,採取した唾液に20分間浸漬し,浸漬終了後すぐに水洗した。この処理を1日4回繰り返した。4日間の処理後,マイクロラジオグラフを撮影し脱灰深度ld(μm)およびミネラル喪失量△Z(vol%・μm)を測定した。POs含有ガスでの処理群では,ldが93±7μm(平均値±S.D.),△Zが3,323±289 vo1%・μmであり,コントロール処理群のld = 117±11μmおよび△Z = 4,857±581 vol%・μmに比して有意に低値であった(p<0.01)。このPOsの再石灰化促進効果は,中性領域における唾液中の溶解性カルシウム含量を増加させ, Ca/P比をハイドロキシアパタイトの比率(1.67)に向けて上昇させることによると考えられた。このようなPOs含有ガムを毎日噛むことは再石灰化を促進し,う蝕予防に有効であることが示唆された。
有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
2002-04-30

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