一卵性双生児の早期矯正治療と長期術後観察 : III 級アクチベーターの効果に関連して

概要

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乳歯列の機能的な前歯部反対咬合を呈する一卵性双生児の姉妹に, 異なる治療法を施した.姉は側方への機能的な偏位があったため, 乳歯列期からアクチベーターを5年2ヵ月間使用し前歯部の交換を誘導した.一方, 妹は, 反対咬合が前歯部だけであったため, 永久歯への交換を見守った.しかし交換した中切歯も反対咬合を呈したため, 舌側弧線装置を8ヵ月間用い, それを改善した.その後, 両者とも術後を観察し, その骨格的な成長変化を頭部X線規格写真により比較検討した.その結果, 舌側弧線装置で治療した妹に比較して, III級のアクチベーターを使用した姉に, (1)アクチベーターを使用している間の上顎骨の反時計回りの回転, (2)下顎骨の大きな下方への成長, ならびに術後観察期間にわたり下顎骨の下方への成長が持続する傾向が観察された.以上の結果から, III級のアクチベーターには上顎骨に対する顎整形力を生じる作用がある可能性, ならびに, III級のアクチベーターを乳歯列期から使用した際の, 下顎骨の位置変化に対する大きな効果が示された.
日本矯正歯科学会の論文