咬合終末期における顎運動パターンとその咬合状態
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概要
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本研究の目的は, 咬合状態と咬合終末期における顎運動パターンとの関連性を, 食塊の破壊粉砕効率を基に検討することである.検討の方法および結果は, 以下のとおりである.1.被験者として, アングルII級症例2名と正常咬合症例1名を選択した.これらの上下顎歯の咬合面形状と位置関係, および咀嚼運動と咬合力を用いて, 有限要素法非線形動解析により食塊の破壊粉砕効率を求めた.その結果, 症例間に著明な経時的咀嚼効率の差異は認められなかった.2.顎運動記録より, それぞれの症例について, 咬合終末期の下顎第一大臼歯の運動方向を観察した。その結果, アングルII級症例の下顎第一大臼歯の運動方向は, 正常咬合症例のそれに比較して前後成分が大きかった.3.アングルII級症例について, 咬合終末期における下顎第一大臼歯の運動方向を, 正常咬合症例のそれと入れ換えて食塊の破壊粉砕効率を求めた.その結果, 経時的咀嚼効率は著しく低下することが認められた.このことにより, 咀嚼運動方向は, 上下顎歯の位置の差異を補い, 食塊の破壊粉砕効率を高めている可能性があることが示唆された.
- 日本顎口腔機能学会の論文
- 1997-01-30
著者
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相馬 邦道
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科咬合機能矯正学分野
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相馬 邦道
東京医科歯科大学 歯
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長谷 誠
東京医科歯科大学歯学部歯科矯正学第一講座
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相馬 邦道
東京医科歯科大学歯学部歯科矯正学第一講座
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