ヒト犬歯圧刺激により誘発される側頭筋の反射性応答 : 正常被蓋と反対被蓋における応答性の比較
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概要
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ヒト咀嚼運動の閉口相終末期にみられる作業側から中心咬合位への側方運動に関し, 作業側上顎犬歯歯根膜の圧刺激により誘発される反対側側頭筋motor unitの興奮性の応答が, 咬合状態の違いにより影響を受けるか否かを調べるため, 上顎犬歯が正常被蓋にあるものと反対被蓋にあるものを被験歯とし, 側頭筋motor unitの応答について比較検討した.被験者は個性正常咬合を有し, 上顎犬歯が正常被蓋にあるもの6名, 反対被蓋にあるもの2名とした.圧刺激の大きさは約100〜800gfとし, 方向は舌唇(D1)方向および唇舌(D2)方向とした.被験筋は非作業側の側頭筋前部とし, 針電極により, 自発放電しているmotor unitを選択的に導出した.上顎犬歯に刺激を加えている間, 上下の歯は接触させず, 下顎の位置は切歯点で約2mm側方へ偏位させた状態を保ち, MKGを用いて被験者にフィードバックさせた.その結果, 正常被蓋にある作業側上顎犬歯に舌唇(D1)方向の圧刺激を加えたところ, 側頭筋motor unitに刺激に応じた興奮性の応答が認められた.唇舌(D2)方向の圧刺激に対しても同様の傾向が認められたもののその応答性は低かった.一方, 反対被蓋にあるものについては, 正常被蓋にあるものとは異なる応答性を示した.すなわち, 舌唇(D1)方向の圧刺激にはほとんど応答変化が認められなかったのに対し, 唇舌(D2)方向の圧刺激に対して刺激に応じた興奮性の応答変化が認められた.以上の結果より, 咬合状態が異なると同一方向の圧刺激を加えても側頭筋motor unitは異なる応答を示し, 作業側上顎犬歯と反対側側頭筋における反射性の応答は, 咬合の状態によって影響を受け, それを反映して異なる応答性を示す可能性が示唆された.
- 日本顎口腔機能学会の論文
- 1995-03-31
著者
-
相馬 邦道
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科咬合機能矯正学分野
-
藤田 幸弘
東京医科歯科大学歯学部歯科矯正学第1講座
-
相馬 邦道
東京医科歯科大学 歯
-
鎌田 茂
東京医科歯科大学歯学部歯科矯正学第一講座
-
鎌田 茂
東京医科歯科大学歯学部歯科矯正学第1講座
-
相馬 邦道
東京医科歯科大学歯学部歯科矯正学第一講座
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