福岡歯科大学附属病院スポーツ歯科センターにおけるスポーツ外傷の実態調査

概要

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スポーツ人口の急激な増加,スポーツの多様化,高度化に伴い,競技中における口腔・顎顔面領域の外傷,すなわちスポーツ外傷の頻度は増加傾向にある。今回,我々はスポーツ外傷を主訴に当病院スポーツ歯科センターを受診した患者について臨床統計的検討を行ったので報告する。対象は,当病院のスポーツ歯科センターが開設した1999年4月から2001年5月までの25ケ月間にスポーツによる外傷を主訴に来院した34名で,受傷時年齢,性別,月別受傷者数,スポーツ別受傷者数,受傷の種類別症例数,硬組織損傷と軟組織損傷の関係,受傷歯の種類,処置内容について臨床的検討を行った。年齢別では10歳代に最も多く,男女比は,7.5:1で圧倒的に男性に多かった。スポーツ別受傷者数をみると,野球が10例と最も多く,以下,ランニング中の転倒,ラグビーと続いていた。損傷した組織を歯牙,骨,軟組織に大別し,検討を行ったところ,歯牙損傷を伴っていた症例は20例であり,骨折を伴っていた症例は13例,軟組織損傷を伴っていた症例は10例であった。また,顎関節症状を伴った症例は3例であった。硬組織のみならず軟組織損傷を伴う症例は全症例の約半数に認められた。処置内容はD.B.S固定が最も多く,以下,軟組織の縫合と続いていた。我々は,これら歯牙外傷をはじめとする様々な口腔・顎顔面領域の外傷予防の一貫としてマウスガードを推奨し,啓発してきた。マウスガードの装着は口腔・顎顔面領域の外傷だけでなく脳震盪などの頭部への影響をも軽減可能であるとされており,その有効性について報告されている。しかしながら,マウスガード装着を義務化されているスポーツは少なく、未だ選手のマウスガードについての認識が低いと思われる。今後においてもコンタクトプレーの多いスポーツ選手を中心にマウスガードの有効性を啓発し,更なるマウスガード装着を普及させていく所存である。
福岡歯科大学学会の論文
2001-12-30

福岡歯科大学附属病院スポーツ歯科センターにおけるスポーツ外傷の実態調査

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