当科における耳下腺腫瘍の臨床的検討

概要

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耳下腺腫瘍は臨床的,病理組織学的に多彩な特徴を示す疾患である。それゆえ,それぞれの症例に対して診断,治療をどのように進めるか充分に検討しなければならない。近年,画像診断に代表される補助診断法の向上により,これらの特徴を明確に捕らえ,より綿密な治療計画が可能となった。また手術手技,放射線・化学療法の進歩も積極的な治療が行われる背景となった。今回われわれは,当科開設時より21年11ヵ月に経験した耳下腺腫瘍15症例について報告した。調査内容は,性別分布,発症年齢,病理組織学的診断(1991年,WHO),臨床症状,病脳期間,手術方法,発生部位,術後経過,年代別症例数の推移である。1979年7月から2001年5月の間に当科で加療した耳下腺腫瘍は15症例で,その内訳は良性腫瘍13例,悪性腫瘍2例であった。病理組織学的診断において,良性腫瘍では多形性腺腫が最も多く,次いでワルチン腫瘍の頻度が高い傾向にあり,後者はすべて男性に認められた。悪性腫瘍では腺様嚢胞癌と粘表皮癌で20〜30歳代の若年者に認められた。若年層での発生例は,悪性腫瘍を念頭に診断`治療を進める必要性があること,疼痛症状は悪性腫瘍の可能性を示唆する臨床症状であることが考えられた。耳下腺腫瘍の多くは耳鼻咽喉科で取り扱う頻度が高い疾患であるものの,当科でも経年的に症例数の増加を認めた。
福岡歯科大学学会の論文
2001-12-30

当科における耳下腺腫瘍の臨床的検討

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