16. 歯原性腫瘍の2例

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WHOの新分類による歯原性腫瘍は歯の発生過程に基づいて分類される。同分類では良性の歯原性腫瘍は純上皮性腫瘍,外胚葉性間葉組織の誘導を伴う上皮性腫瘍,間葉性主要の3グループに大別され,第1グループにはエナメル上皮腫に代表される純上皮性腫瘍,第2グループは歯牙腫に代表され、腫瘍性の上皮が歯乳頭に相当する間葉組織を誘導した段階のものから,さらに象牙質の形成,エナメル芽細胞の誘導,エナメル質の形成まで,歯の形成過程に相当する様々な段階の腫瘍が含まれる。また,第3グループでは歯原性線維腫や歯原性粘液腫など,腫瘍の基本要素である間葉成分に加えて非腫瘍性成分として上皮が含まれているものとされている。これら歯原性腫瘍は大部分が良性であり,発生頻度も低く,多様な病態を呈している。加えて,硬組織を主体とするものでは標本作製が煩雑なこともあり,臨床においては組織構成が明らかにされないまま,治療が終了することも少なくないと思われる。症例1では臨床検査結果や過去の報告などから骨組織を伴う異所性歯牙腫を疑ったが,病理組織像はセメント質種であった。症例2ではレントゲン所見や肉眼所見より,セメント質腫を疑ったが病理組織像は複雑性歯牙腫であった。硬組織を主体とする歯原性腫瘍に対する通常の臨床治療においては,標本化の煩雑性などから治療終了まで臨床診断が用いられている可能性が示唆された。また,硬組織疾患では正確な最終診断を得るためには非脱灰研磨標本を作製する必要があると思われた。今回経験した2例より,術前診断と病理診断の整合性を高めるためにも,さらに検討数の母体を増やしていく必要があると思われた。
福岡歯科大学学会の論文
2001-12-30

16. 歯原性腫瘍の2例

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