2. 試作レジンスプリント材のフッ素徐放性と機械的性質について

概要

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近年,外傷歯の固定法として,簡便な操作によって整復固定のできる装置の開発が望まれている。そこで演者らは光重合型のレジンスプリント材をガラス繊維によって補強し,装置の小型化や破折時の細片化を防止するとともに,フッ素樹脂の添加によってフッ素徐放機能を持たせ,固定期間中の齲蝕抑制効果も期待できる新しいフッ素徐放性レジンスプリント材の開発を行ってきた。今回,フッ素徐放能をさらに向上させる目的で,フッ素樹脂にフッ化ナトリウム(NaF)を添加し,その機械的強度とフッ素徐放性の基礎物性について検討し以下の結果を得た。今回,フッ素含有率の高いフッ素樹脂(PMF)を高率で添加したレジンスプリント材にNaFを併用した結果,ガラス繊維なしでは機械的強度にはほとんど影響はみられなかった。しかし,ガラス繊維入りのものでは,曲げ強さで,NaFの添加量に反比例し低下した。これは,MaFの添加量増加に伴い,ベースレジンの流動性が低下しガラス繊維へのレジンの浸透が妨げられ,ガラス繊維による補強効果が十分に発現できなかったために曲げ強さが低下したと考えられた。また,これまでのフッ素徐放性材料の場合,徐放されるフッ素イオンの溶出速度は,1日目が最大でその後は時間の経過に伴って指数関数的に減少する傾向がみられたが,今回試作したPMFとNaFを併用したスプリント材は,持続的なフッ素の溶出挙動が観察された。今後,今回の結果を踏まえたうえで,PMFとNaFとの配合比率をさらに検討し,短期間にフッ素を集中的に徐放させることができる,フッ素徐放能の制御を目的とした材料の開発を行っていく予定である。
福岡歯科大学学会の論文
2001-12-30

2. 試作レジンスプリント材のフッ素徐放性と機械的性質について

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