4. レーザーによる齲蝕予防に関する研究第一報

概要

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従来齲蝕予防にはフッ化物とシーラントが用いられているが,最近ではレーザーを用いた方法が注目されている。レーザー照射による齲蝕予防は多くの基礎的研究があるが,エナメル質の耐酸性を増強させる効果のあるレーザーの機種としては,ルビーレーザー,Nd:YAGレーザー,CO_2レーザー,Krイオンレーザー等が挙げられる。森岡らは9種の異なるレーザーを比較して検討した結果,ノーマルパルスNd:YAGレーザーが高い耐酸性の付与とエナメル質に損傷を生じないという点から臨床応用に最適であると報告している。更に臨床においても山田は,齲蝕予防から初期齲蝕の進行抑制にレーザーの応用を報告しており,フッ化物とレーザーを併用し初期齲蝕病変である白斑(表層下脱灰病変)を消失させている。しかし,これらの報告は永久歯を用いたものがほとんどで乳歯に対しての報告は皆無である。そこで我々は乳歯列期に生じた白斑の治療法としてレーザーを用いた方法を確立するために本研究を計画し,今回は乳歯抜去歯を用いて実験を行い,フッ素の取り込みをEPMAを用いて検討を行った。その結果,レーザー照射群と非照射群とではフッ素作用短期群と長期群共にレーザー照射群の方に,フッ素が取り込まれる傾向が認められた。これは,レーザーを照射することで乳歯エナメル質結晶の溶融が関与し,フッ素を取り込み易くしていることを示唆した。またフッ素作用短期群と長期群とでは,フッ素の取り込みには大きな差は認められなかった。これは用いた抜去歯がホルマリンで固定してあったことや,長期を1週間とした条件に問題があったことが,両者に差が認められなかった原因のひとつと考えられた。今後は,表層下脱灰の位置と大きさ,そして使用するフッ化物の種類など条件を変えながら,白斑,つまり表層下脱灰病変の治療の為に,最も効果的で効率の良い治療法を検討して行く予定である。
福岡歯科大学学会の論文
2001-12-30

4. レーザーによる齲蝕予防に関する研究第一報

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